医師を志した原点から、地域に根差すクリニック開業までの歩み
2025.08.01
「一人ひとりの不安を安心へ変える、ぬくもりの医療を」エクラ難波レディースクリニック・田中達也院長による、心に寄り添う婦人科診療の理想郷
エクラ難波レディースクリニック
院長 田中 達也
大阪の中心地、なんば駅からアクセス抜群の場所に位置する「エクラ難波レディースクリニック」。2024年の開院以来、多くの女性たちの健康を支え、地域に根差した診療を行っています。今回は、同院の院長を務める田中達也先生にインタビューを実施しました。生物への純粋な興味から始まり、数々の基幹病院で豊富な臨床経験を積んでこられた田中先生。なぜ今、難波の地で自らのクリニックを立ち上げるに至ったのか。患者さまと真摯に向き合う診療理念やスタッフへの想い、誠実な挑戦の軌跡について、温和な人柄がにじみ出るお言葉でじっくりとお話を伺いました。
—田中先生が医師を志した最初のきっかけは何だったのでしょうか。
私はもともと、幼少期から生き物がとにかく大好きだったんです。家族の話によると、2歳くらいの頃からずっとアリの観察をしていたそうで、台所から砂糖と塩を持ってきて道を作り、どちらにアリが群がるかをじっと見つめていたらしいです。小学校に上がってからも、草むらに入っては虫を探すような子どもでした。その「生き物への興味」がすべての原点にありますね。
—最初は農学部に進学されていますが、そこから医学部へ転部されたのはなぜですか?
最初は東京大学の農学部に入学して水産学科を卒業したのですが、勉強を続けるうちに、やはり「人間」という生き物、その根源である「細胞」そのものをより深く学んでみたいという思いが強くなりました。そこで、もう一度深く勉強し直したいと考え、一念発起して神戸大学の医学部に入り直したんです。
—数ある診療科の中から、最終的に産婦人科を選ばれた理由を教えてください。
医学部でさまざまな分野を学ぶ中で、お産という非常にダイナミックな生命の誕生の世界に強く惹かれたことが大きな理由です。新しい命が生まれる瞬間に立ち会えるやりがいは、他の科にはない産婦人科ならではの魅力だと感じました。
—2024年に「エクラ難波レディースクリニック」を開院される前は、どのような環境で勤務されていたのですか?
勤務医時代は、淀川キリスト教病院などの非常にお産件数が多い大病院にいました。当時は年間2,000件近いお産を扱うような多忙な環境で、数多くの帝王切開や分娩を経験し、医師として非常に充実した日々を送っていましたね。
—充実した日々の中で、あえて開業を志すようになったきっかけは何だったのでしょうか。
大病院の特性上、どうしても1人ひとりの患者さまとじっくり関わる時間を確保することが難しかったんです。外来では「2時間待ち」が当たり前になってしまい、効率よく診察を回すために、私たちは診断や手術の決定に集中し、前後の細かなケアは看護師さんに任せざるを得ない状況でした。もっと一人ひとりの患者さまに深く、丁寧に関わりたいという思いが強くなり、自分の理想とする医療を実現するために開業を選びました。
—開業にあたって、特に苦労されたことやこだわりはありましたか?
一番悩んだのはクリニックの「場所」ですね。私はアクセスが良く利便性の高い「難波(なんば)」という場所に非常にこだわりました。ただ、難波は一等地ですから家賃が本当に高い。医療の知識はあっても経営の知識はゼロでしたから、「本当にこれで経営が成り立つのか」という不安があり、家賃の高さは開業前に直面した大きな壁でした。
—先生がクリニックを経営・診療する上で、最も大切にされている理念を教えてください。
医療理念として最も大切にしているのは「ホスピタリティ」です。婦人科を受診される患者様は、皆さん何かしらの強い「不安」を抱えて来院されます。特に若い世代の方は、医療機関に慣れていなかったり、費用の面で心配を抱えていたりと、とても緊張されています。だからこそ、私たちは最初の段階からその不安をきれいに拭い去り、安心して笑顔で帰っていただけるような居心地の良い診察を心がけています。
—スタッフの採用や教育において、意識されていることはありますか?
採用やクリニックの運営に関しては、事務長が担当しています。「Indeed」などを活用して募集しているのですが、特に婦人科という特性上、患者様のデリケートな悩みに寄り添える「人柄」を最重視して採用しています。実は、うちのクリニックではスタッフへの「接遇教育」や「社員研修」を一切行っていないんですよ。
—研修を一切行っていないというのは驚きです。なぜそれでクオリティが保てるのでしょうか。
院長が掲げる「ホスピタリティ」という方針に、最初から心から共感してくれたメンバーが集まってくれたので、私たちが求める以上の気配りを自発的に実践してくれているんです。例えば、受付スタッフが待合室の椅子に座っている患者様とお話しする際、自然と膝をついて目線を合わせていたり、前の患者様が立った瞬間にサッと椅子から立ち上がって対応したりしてくれています。オープニングスタッフが素晴らしい対応の雰囲気を作ってくれたので、新しく入った方もそれを見て自然と学んでくれていますね。
—今、医療業界でもDXが叫ばれていますが、貴院で導入して良かったシステムはありますか?
当院で特に導入して良かったと感じているのは「WEB問診」と「WEB予約」ですね。電子カルテとの連携はもちろんですが、婦人科においては特に大きなメリットがあります。他科と違って、婦人科は「性病検査」や「中絶」など、受付や周囲の人に大きな声で言いにくいデリケートな理由で来院される方が多いです。事前にWEB問診で内容を直接カルテに飛ばせるシステムは、患者様のプライバシーを守り、心理的負担を減らすためにも必須のツールだと感じています。
—素晴らしい取り組みですね。今後のクリニックとしての展望をお聞かせください。
医療の世界は日々進歩しています。月経困難症や更年期治療の領域でも、どんどん新しいアプローチや治療法が出てきています。私たちはこれからも、医療の進歩にしっかりとキャッチアップし、それらをブラッシュアップして患者様に提供し続けていきたいと考えています。
—最後に、これから開業を目指す先生方へメッセージをお願いします。
未知の世界へ飛び込むのは誰しも怖いものです。私自身、すべての準備を完璧に整えてから動きたいタイプだったので、開業前は恐怖しかありませんでした。そんな時、実業家である弟から、「とりあえず、走れ。走り出せば、見える景色が変わっていく。景色が変わった時に、その場でできるベストな対応をすればいい。怖がるな」と言われたんです。 もちろん、この2年間たくさんのトラブルがありましたが、その都度、必死に乗り越えてきました。一度走り出してしまえば、次に何が起きても対応できる自信がつき、不思議と怖いものがなくなっていきます。走りながら考えれば、必ず道は開けます。ぜひ、恐れずに一歩を踏み出してみてください。
Profile
院長 田中 達也
エクラ難波レディースクリニック院長。1986年兵庫県立姫路西高等学校卒業後、東京大学農学部を経て、人の生命を深く学ぶべく神戸大学医学部へ進学。1998年に医師免許取得後、同大学附属病院や兵庫県立こども病院、淀川キリスト教病院などの基幹病院で産婦人科・周産期医療の前線に立つ。多くの研鑽を積んだ後、2024年に「エクラ難波レディースクリニック」を開院。専門である女性ヘルスケアや更年期障害、月経困難症治療において、患者さま一人ひとりに寄り添った医療を提供している。