Interviewインタビュー

きずときずあとのクリニック 村松英之院長が語る。傷あとの治療を通して患者様の人生のQOLを高める医療の探求

きずときずあとのクリニック

院長 村松 英之

きずときずあとのクリニック の院長・村松英之先生は、形成外科医として全国の基幹病院で数多くの難手術を手掛け、傷あと治療の最前線に立ってこられました。傷あとに対する社会的な認識や医療の限界に課題を感じた村松英之院長は、2017年に豊洲の地できずときずあとのクリニックを開業。「傷あとは消せない」という現実を前提にしながらも、患者様一人ひとりの期待値に誠実に向き合い、最新の知見と医療技術を駆使してQOLを高める診療を続けています。村松英之院長の医療にかける情熱や、クリニックの革新的な取り組みについて詳しくお話を伺いました。

「傷あと」で悩む患者様の人生に寄り添う。きずときずあとのクリニック 村松英之院長インタビュー

形成外科医としてのルーツと原点

—まず、村松先生が形成外科の道を志されたきっかけについて教えていただけますか?

形成外科を選んだ最大の理由は、手術や治療における「アイデアの多面性・柔軟性」に深く惹かれたからです。大学時代に恩師である原口先生のもとで指導を受ける中で、さまざまな再建手術を見学させていただきました。

—特に印象に残っている手術やエピソードはありますか?

事故などで失われた親指に対し、お腹の皮膚や組織を活用して再建する「腹部皮弁」という手術ですね。身体の別の部位の組織を用いて機能を修復・再建するというアプローチに強い衝撃を受け、形成外科という分野の奥深さに一気に引き込まれました。

— 昭和大学での研修時代はいかがでしたか?

当時の昭和大学形成外科は全国的にも非常に症例数が多く、1日に8枠もの手術が並ぶような環境でした。若手の頃から圧倒的な数の症例に触れ、全国の基幹病院で研鑽を積めたことが、現在の私のバックボーンになっています。

前橋赤十字病院での体験と開業への思い

—前橋赤十字病院では部長として長年勤務されましたが、どのような現場だったのでしょうか?

前橋赤十字病院では広範囲のやけどや重症の傷あと、口唇口蓋裂などの治療に注力していました。群馬県内でも有数の高度医療施設だったため、非常に緊急性の高い症例や難症例に向き合う日々でした。

—開業を意識するきっかけとなった患者様との出会いについて教えてください。

お顔の傷あとによって人と会話することすら難しくなり、何年も悩み続けていた若い女性患者様との出会いです。当院で治療を行い、傷あとが目立たなくなったことで笑顔を取り戻されたのですが、「もっと早く形成外科の存在を知っていれば、この数年間を無駄にしなくて済んだのに」とおっしゃったんです。その言葉が忘れられませんでした。

—その言葉を受けて、どのような課題を感じられたのでしょうか?

日本では「傷あとの悩み=形成外科」という認知が圧倒的に不足しているため、救われるはずの患者様が長年適切な治療にたどり着けていない現実に気づかされました。

「誠実な医療」と診察におけるポリシー

—クリニックで診療を行う上で、最も大切にされている「診察のこだわり」は何でしょうか?

患者様との「期待値の調整」を徹底することです。医学的に傷あとを完全に「無」にすることはできません。だからこそ、カウンセリングでは過度な期待を持たせないよう、できることとできないことを正しく、正直にお伝えします。

—嘘をつかない、お世辞を言わない診察を徹底されているのですね。

はい、患者様と現実的なゴールを共有し、納得した上で治療に臨んでいただくことが何よりも重要です。それが結果として治療後の満足度や、患者様のQOLの向上に最もつながると信じています。

—傷あと治療が患者様の人生に与える意味について、どのようにお考えですか?

傷あとは体だけでなく、心にも制限をかけてしまいます。見た目のコンプレックスを和らげることで心の重荷を下ろし、患者様が前を向いて自分らしい人生を歩めるようにすることこそが、私たちの医療の本当の目的です。

組織づくりとクリニックの未来

—スタッフやクリニックの組織づくりで意識されていることはありますか?

当院では「選択理論」をベースにしたマネジメントを取り入れています。職種や立場に関わらず、メンバー一人ひとりを対等なパートナーとして尊重し、批判や強制ではなく「支援と協力」を軸とした人間関係を築くことを大切にしています。

—自由診療へ完全移行された理由についても教えてください。

保険診療のルール内では、高度なレーザー治療や最新の治療法を柔軟に提供するのに限界がありました。また、当院に集まってくれた医師たちが、制約なく最善の治療を提案できるようにするためです。自由診療に一本化したことで、組織全体が妥協のない医療に向かって一丸となれる環境が整いました。

—最後に、これから開業医を目指す方々へメッセージをお願いいたします。

勤務医時代と開業医とでは求められる役割が大きく異なりますが、何よりも重要なのは「自分自身がどんな医療を提供したいのか」「どのような理念で組織を導くのか」という明確な軸を持つことです。開業後はさまざまな壁やピンチに直面することもありますが、自身の志をブレさせず、患者様やスタッフに対して愚直かつ誠実に向き合い続けることが、理想のクリニックづくりへの一番の近道だと感じています。妥協せずに学び続け、ご自身の思い描く医療を実現させてください。

Profile

院長 村松 英之

きずときずあとのクリニック 豊洲院 院長。昭和大学卒業後、昭和大学形成外科に入局し、福岡和白病院、西尾市民病院、埼玉県立小児医療センター、聖マリア病院、太田西ノ内病院など全国の基幹病院で研鑽を積む。形成外科専門医取得後、前橋赤十字病院で形成外科部長を7年間務め、広範囲熱傷や重症傷あとの治療に尽力。その後、昭和大学附属病院形成外科講師、シンガポール(KK Women’s & Children Hospital)留学を経て、日本における形成外科の認知度向上と傷あとに悩む人々を救うため、2017年に「きずときずあとのクリニック 豊洲院」を開業。

会社情報

医院名

きずときずあとのクリニック

設立

2017年