Interviewインタビュー

「身内を診るように、誠実な診療を」芦原内科・心療内科・芦原 睦院長が貫く、人を成長させる心身医学の神髄

芦原内科・心療内科

院長 芦原 睦

愛知県名古屋市中区に位置する『芦原内科・心療内科』。JR名鉄・地下鉄金山総合駅から徒歩2分の利便性の高い場所で、多くの患者さんの心と身体の健康を支え続けているのが、院長の芦原 睦先生です。芦原先生は、大学病院を経て中部労災病院の心療内科部長などを歴任し、長年にわたり日本の心療内科医療の最前線で活躍されてきました。本インタビューでは、芦原先生が医師を志したきっかけから、現在のクリニックを開院するに至った経緯、独立後の苦労、そして先生が最も大切にされている「患者さんを身内と思って診療する」という真摯な医療へのこだわりや今後の展望について、余すことなくお話を伺いました。

名実ともに正しい心療内科のバトンを未来へつなぐ、「芦原内科・心療内科」芦原 睦院長の揺るぎなき信念

医師としての原点と「理想の医療」を求めた開院への歩み

まずは、芦原先生が医師を目指されたきっかけについて教えていただけますか。

私の家は、もともと江戸時代から続く医者の家系なんです。祖父も父も弟も耳鼻咽喉科の医師で、親戚にも医者が多くて、自分にとって「医者になること」自体はごく自然で当たり前の環境でした。

ご家族の姿を見て育つ中で、特に印象に残っているエピソードはありますか。

小学校の低学年くらいの頃、父の診療をそばで見ていた時に、ふと気づいたことがあったんです。通常の商売、たとえばパン屋さんや八百屋さんに行くと、お店の人がお客さんに「ありがとうございました」と言いますよね。でも、父の診療所では、お医者さんである父がふんぞり返っているのに、患者さんのほうが「ありがとうございました」と頭を下げて帰っていく。子供ながらに「ありがとうの向きが違うな」と、不思議な仕事だなと思ったのが漠然と心に残っています。それが原点ですね。

中部労災病院で長く勤務医をされた後、定年を機に開業を決められたのはなぜでしょうか。

私は内科認定医と、心療内科、リウマチ科の専門医を持っています。勤務医時代、たとえば「関節リウマチがあり、血圧も高くて、少しうつ傾向もある」という患者さんを私一人ですべて診ていました。しかし私が退職するとなると、患者さんはリウマチは整形外科、高血圧は内科、うつは精神科と、3つの診療科に別々に通わなければならなくなります。遠方から通ってくださっていた患者さんたちにそのお話をしたら、「地元には芦原先生のように総合的に診てくれる先生はいないので困る」と言われました。それなら「自分でやるか」と一念発起したんです。

開院後の挑戦と「身内と思って診療する」というこだわり

実際に開業されてみて、一番大変だったことは何でしょうか。

やはり、これまでやったことのなかった「経営」と「人事」ですね。祖父も父も弟も開業医ですが、私は40年近くずっと大学病院や労災病院といった公的な大病院にいましたから、経営のノウハウが全くありませんでした。当院は受付や心理士を含めて10人ほどの規模で運営していますが、スタッフの採用や人数の確保、そして何より収益性を考えなければならないという開業医の現実は、今でも大きな課題であり、しんどさを感じる部分です。

経営の難しさに直面しながらも、先生が日々の診療において最も意識されていることは何ですか。

常に「目の前の患者さんを、自分の身内だと思うこと」です。自分の家族や身内だったら、どんな検査をして、どんな薬を出すか。その基準で医療を行っています。今の日本の医療の中には、風邪を引いただけで14種類も薬を出したり、不要な自由診療を勧めたりする利益を追求しているところもありますが、私は大病院で研修医たちに「教科書的に正しい医療」を教えてきた人間です。儲け主義的なことは避けています。 しかし、患者さんをどんどん治すと患者さんが減って経営難に陥るというジレンマを抱えています。

心療内科が扱う「心身症」と、3つの治療過程

当院が最も得意とされている、本来の「心身症」治療について詳しく教えてください。

心身症とは、簡単に言うと「心の影響で身体に症状が起きる病気」のことです。頭痛や過敏性腸症候群、ストレス潰瘍などが代表例ですね。よくアトピー性皮膚炎の子が、夏休みには症状が落ち着くのに、試験期間中になるとグッと悪化することがありますよね。あれがまさに心理的要因と身体の病気が関係している分かりやすい例です。私はリウマチ・膠原病の専門医でもありますから、こうした心理的要因と身体の症状が複雑に絡み合った患者さんをトータルで診ることが一番の得意分野です。

患者様と接する上で、先生が大切にされている考え方はありますか。

私は診察の際、曖昧に濁さずはっきりと物事を伝えます。心身症や神経症は、患者さん自身が自分の問題に気づき、自ら成長して治していくものだからです。お薬はあくまでそのサポートに過ぎません。そのため、「ただ優しく話を聞いてほしい」という方とは時に相性が合わないこともありますが、本気で病気に向き合いたい方にとっては、本質的な治療を提供できていると自負しています。

心療内科における「病気が治る」とは、具体的にどのようなステップをたどるのでしょうか。

心療内科の治療過程には、3段階あると考えています。第1段階は「症状が取れてよかった」という状態。第2段階は「病気自体が治ってよかった」という状態。そして最後の第3段階が「病気という体験を通して、人として成長できてよかった」という状態です。この第3段階まで到達できた患者さんに会えるときが、医師として最も嬉しさとやりがいを感じる瞬間です。

現在の医療制度への懸念と、未来へつなぐ医師としての信念

現在の医療業界やシステムについて、開業されてから気づいたことはありますか。

言葉は悪いですが、今の医療制度は、医師の技量が低く診断に至るまで時間がかかったり、不要な検査を多く施行をしたりすると、医療費が上がって儲かる仕組みになっています。また、日本は自由主義の国家ですが、医療制度は社会主義ですね。さまざまなことがすべて国で決められているからです。

そうした状況の中で、先生が自ら行っている情報発信や取り組みについて教えてください。

私はこれまで論文を250本以上執筆し、書籍も58冊出版、講演も930回以上行ってきました。一般の方向けの心理テストの本なども出版し、多くの方に読んでいただいています。10万部以上売れた書籍も2冊あります。こうした活動はすべて、世の中に「正しい心療内科の知識」を普及するために続けてきたことです。自分のクリニックの宣伝費にお金をかけるくらいなら、こうした学術活動や出版を通して、医療の本質を社会に発信し続けたいと考えています。

最後に、これから開業を目指す若い医師や研修医の先生方へメッセージをお願いします。

目先の収益や流行に流されることなく、自分が信じる「医療への信念」を貫いてほしい。誰に見られても恥ずかしくない、誠実で正しい診療をやり続けることです。私自身も生命がある限り「生涯現役」で、正しい心療内科医療を実践し続けていくつもりです。ぜひ若い先生方にも、そのバトンを受け継いでいってほしいと考えています。

Profile

院長 芦原 睦

1987年、藤田医科大学大学院(リウマチ・膠原病専攻)修了。1989年に東邦大学心療内科(筒井末春教授)、豊島中央病院(桂戴作日本大学前教授)に師事。1990年より中部労災病院内科・心療内科に勤務し、1998年には同病院の心療内科部長および勤労者メンタルヘルスセンター長に就任。2001年から2009年まで藤田医科大学客員講師を務めた後、2009年より同大学の客員教授に就任。現在は、日本心療内科学会副理事長、『芦原内科・心療内科』の院長として、心身症やリウマチ・膠原病に悩む患者さんの診療にあたる傍ら、多数の書籍の執筆や講演活動、公認心理師・臨床心理士の教育研修にも力を注いでいる。

会社情報

医院名

芦原内科・心療内科

設立

2021年