地域医療への貢献を目指す–浜松歯科 中野 陽平 院長の経営と情熱
2026.02.17
地域に根ざして30年以上。「東肛門科胃腸科クリニック」の東 侑生院長が、検査・手術からアフターフォロー まで一貫して診届ける、大腸・肛門疾患診療を語る。
東肛門科胃腸科クリニック
院長 東 侑生
大都会の喧騒の中にありながら、温かみのある医療を提供し続けている「東肛門科胃腸科クリニック」。今年で開業31年目を迎える同院は、先代の院長から地域の健康を支え続けてきました。今回は、そのバトンを受け継ぎ、常勤の院長として診療を行っている東 侑生先生にお話を伺いました。東京大学大学院で医学博士を取得し、数々の専門医資格を持つ東院長が、なぜ大病院ではなくクリニックでの診療を選んだのか。4つの視点から、その熱い想いを紐解きます。
—東先生が、医師を志したきっかけについて教えていただけますか。
一番大きなきっかけは、「がん診療をやりたい、がんの患者さんを助けたい」という強い思いがあったことです。幼い頃から医療という領域そのものには興味を持っていたのですが、本格的に医師という道を選び、どの専門分野に進むかを考えたときに、人の命に直結するがん治療に携わりたいという気持ちが明確になりました。
—先生のご専門である「下部消化管外科」では、具体的にどのような疾患を診られているのでしょうか。
基本的には大腸がんの治療がベースにあります。それに加えて、現在は潰瘍性大腸炎やクローン病といった「炎症性腸疾患」の診療も積極的に行っています。また、当クリニックは父親である先代の時代から「肛門疾患」を専門として掲げており、私自身もお尻の病気について専門的な修練を積んできました。
—ホームページを拝見すると、内視鏡とお尻の病気の両方を掲げているクリニックは他にもあるように思えますが、貴院ならではの強みはどこにありますか。
実は大病院でも肛門疾患を専門に取り扱っていない病院は多く、下部消化管外科の医師の中でも肛門疾患の専門施設でしっかりと修練を積んできた医師は実際には少ないのが現状です。当クリニックの強みは、私を含め、在籍している医師全員が肛門疾患の専門施設でトレーニングを積んできた「お尻の専門家」であるという点です。大腸の内視鏡検査も、肛門の専門的な診療も、どちらも非常に高い専門性を持って提供できるように心がけている。そこが他のクリニックとの大きな違いです。また、大腸内視鏡検査についても消化器内視鏡専門医かつ大腸肛門病専門医による鎮静剤を用いた苦痛の少ない検査を行っており、ポリープやがんの早期発見だけでなく「炎症性腸疾患」も含めた幅広い大腸疾患に対応できる環境を整えています。
—これまで大学病院などの基幹病院で数多くの手術を経験されてきた先生が、現在のクリニックに戻ってこられた経緯を教えてください。
大きな病院にいた頃は、がんの手術などを多く手がけたいという強い気持ちがありました。しかし同時に、がん診療において重要なのは「手術」だけではなく、早期発見や正確な診断、そして手術後の細やかなフォローアップであるとも痛感したのです。先代である父親が築いたものを引き継ぎ、地域医療に貢献する時期が来たと考えて戻ってきました。
—実際にクリニックでの診療を始められて、大病院との違いや「やりがい」をどのように感じていらっしゃいますか。
大きな病院では「検査をする医師」「手術をする医師」「外来で経過を診る医師」が分業されているケースが少なくありません。しかしクリニックでは、検査や治療、その後のフォローまで一貫して診続けることができ、より身近に感じられる医療を提供できると思っています。また、お尻の病気については多くの患者さんが症状に困っていても、「恥ずかしい」・「不安」といった気持ちからなかなか病院に受診できない方も多いと思いますが、安心して気軽に受診できるクリニックの雰囲気作りを心がけています。
—逆に、クリニックの経営や運営という面で、難しさやこれまでの病院との違いを感じる部分はありますか。
大病院にいた頃は「医療に従事すること」だけに集中していればよかったのですが、クリニックに異動してからは、スタッフのマネジメントやクリニック全体の診療の流れをどう組み立てるかなど、医療以外の仕事や考えるべき領域が格段に増えました。そこはクリニックならではの、大変な部分だと感じています。
—先生が日々の診察の中で、最近特に感じられている現代の医療課題などはありますか。
非常に危機感を持っているのは、大腸がんの「若年化」です。がんと言えば高齢者の病気というイメージが強いかもしれませんが、現代は食生活の変化などもあり、20代、30代の方でも普通に進行した大腸がんが見つかる時代になっています。また、同じく若い世代に多いのが、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患です。
—若い方ほど「恥ずかしい」「まだ大丈夫だろう」と受診をためらってしまいそうですね。
おっしゃる通りです。特にお尻の症状に関しては、恥ずかしさから受診を我慢してしまう方が非常に多いです。女性の患者さんであれば「男性の先生に診られるのが嫌だ」と、何年も苦しんでから来院されるケースも珍しくありません。だからこそ、当クリニックでは常勤の大腸肛門病専門女性医師による女性外来を設けるなど、性別や年齢を問わず誰もが気軽に来院できる雰囲気づくりを徹底しています。
—受診のハードルを下げるために、予約システムなどでも工夫されている点はあるのでしょうか。
当クリニックでは、あえて「完全予約制」にはしていません。現代は予約ができる方が便利だと思われがちですが、お尻の病気や大腸の症状は、「今日、急に激しい痛みに襲われた」「今朝、突然大量の出血があった」という緊急のケースが多々あります。そうしたときに「予約がいっぱいなので数日後になります」と断ってしまうのは、地域密着の医療機関としてあるべき姿ではないと考えているからです。
—予約なしの急患を受け入れつつ、待ち時間を減らすために取り組んでいることはありますか。
スタッフ間の連携を強化し、少しでもスムーズに診療が流れるよう努力しています。クリニックのような小さな医療機関では、医師一人がいくら頑張っても、良い医療は提供できません。受付の対応、看護師の細やかな声がけ、それら全てのプロセスが揃って初めて、患者さんに「ここに来て良かった」と満足していただけるのです。スタッフの皆が心に余裕を持って、満足して働ける環境を整えることも重要と考えています。
—現代はインターネットで簡単にクリニックを探せる反面、どこを信じればいいか迷う患者さんも多いと思いますが、先生はどうお考えですか。
インターネットやAI検索などのツールで簡単に医学的な情報も集めることができるようになりましたが、実際の臨床の現場では病気と最適な治療は一対一の対応ではなく、患者さんによっても異なります。患者さんの悩みを聞き、その背景を理解して検査・治療を行い、その後のフォローまで伴走するのが医療だと考えています。そういった意味ではインターネットの情報だけでなく、実際に受診しないとわからないことも多いのではないかと思います。
—最後に、これからのクリニックの展望と、医師を目指す若い世代へのメッセージをお願いします。
これからは、私たちが提供している「検査、手術、そしてその後のフォローまでトータルで診る医療」をもっと多くの地域の方々に知っていただきたいと思っています。また、少しでもお悩みの症状があればお気軽にご相談いただければと思います。そして、医師を目指している若い方たちへ。医療、特に「外科医」という職種は、自分で病気を診断し、自分の手で治療し、その後の患者さんの人生までをトータルで診届けることができる、非常に魅力的な分野です。楽な道ではありませんが、それ以上に患者さんの人生を支える大きな喜びがあります。ぜひ、我々と同じ外科医の道を志す人が増えてくれることを願っています。
Profile
院長 東 侑生
東肛門科胃腸科クリニック院長。医学博士(東京大学 大学院 医学系研究科)。日本大腸肛門病学会専門医、日本臨床肛門病学会認定医、日本外科学会専門医、消化器内視鏡学会専門医、日本消化器外科学会専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、消化器がん外科治療認定医。 東京大学大学院にてがんの基礎研究に従事し、学位を取得。大病院や専門施設にて大腸がん、痔などの肛門疾患、潰瘍性大腸炎・クローン病等の炎症性腸疾患の診療・手術に数多く携わる。現在は、30年以上の歴史を持つ「東肛門科胃腸科クリニック」の院長に就任。高い専門性と、患者に寄り添う一貫したトータルケアを提供している。