Interviewインタビュー

患者さんに寄り添い、医療の枠を超えて「セルフケアできる人と環境を取り戻す」

野口基礎医療クリニック

院長 野口 勇人

埼玉県さいたま市浦和区にある「野口基礎医療クリニック」。院長の野口勇人先生は、一般的なクリニックの枠にとらわれない独自のスタンスで患者や地域の健康に向き合っています。幼少期の病気の体験や波乱万丈な経歴を経て、「医者らしくない医者」を目指すようになったという野口先生。今回は、医師を志したきっかけやクリニック開業の経緯、そして「セルフケア」や「音楽」に込めた未来への想いについて、じっくりとお話を伺いました。

野口基礎医療クリニック・野口勇人院長インタビュー「セルフケアできる人と環境を取り戻す」

医師を志した原点と「医者らしくない医者」への想い

野口先生が医師を目指すことになったきっかけは何だったのでしょうか?

実は5歳くらいの頃、耳や鼻の調子があまり良くなくて、慢性鼻炎などに悩んでいたんです。当時、私の父はもともとタバコ屋の家系だったのですが、突然一念発起して耳鼻咽喉科の医師になりましてね。私が5歳の頃、父が勤務医として働いていた職場に見学がてら診察や健康診断に誘われたのが最初のきっかけでした。

お父様の職場で見学された時の印象はいかがでしたか?

当時の幼い自分にとって、病院や耳鼻科の診察台って「白衣を着たお医者さんに怒られるんじゃないか」「痛いことをされるんじゃないか」とすごく怖かったんですよ。兄弟はすんなり父による診察を受けたのですが、私だけは恐怖で逃げ出してしまい、結局診察を受けずに帰ってしまったんです。

逃げ出してしまった後、どうされたのですか?

その直後に、逃げた罰が当たったのか、中耳炎になったり、鼻炎が悪化してしまって。父の診察を受けることになったのですが、怒られると思いきや、父はとても優しく丁寧に診察して良くしてくれたんです。わがままな自分にも寄り添ってくれた姿に感動し、「ただの医者ではなく、自分のように病院を怖がる人にも親身に寄り添える、世の中で一番『医者らしくない医者』になろう」と心に決めたのが原点ですね。

波乱万丈な経験と「野口基礎医療クリニック」開業の裏側

大学卒業後、どのような経緯で開業に至ったのですか?

実は、最初から自ら開業しようとは全く思っていなかったんです。研修医や総合病院勤務を経て、縁あって大手サプリメント企業の顧問や、自費診療で免疫療法を行うクリニックの「雇われ院長」を務めていました。

雇われ院長時代はどのような活動をされていたのですか?

そこでは末期がんや難病に悩む患者さんの診療に携わりながら、鍼灸師や整体師、カイロプラクティックなどの治療家の方々に向けて「免疫とは何か」「どうすれば免疫が高まるか」を伝える勉強会やセミナーの講師を行っていました。

そこからご自身のクリニックを立ち上げることになった決め手は何でしたか?

そのクリニックの経営上の事情で急遽雇われ院長を辞めることになり、セミナーも継続できなくなってしまったんです。ですが、勉強会を頼りにしてくれていた治療家の先生方や、治療を求めている患者さんたちの行き場がなくなってしまう。「自分が立ち上がらなければ、この学びと救いの場が途絶えてしまう」という強い使命感から、2019年に急遽「野口基礎医療クリニック」を開業する決意をしました。

クリニックの理念と「セルフケア」を中心とした医療の姿

野口基礎医療クリニックが掲げる「運営理念」について教えてください。

当クリニックの理念は「セルフケアできる人と環境を取り戻す」ことです。病院や薬、高額な治療だけに頼るのではなく、一人ひとりが自分自身の心身を守る知識を持ち、日常の中で健康を維持できる状態を目指しています。

具体的にはどのようなアプローチや指導を行っているのですか?

薬を処方して症状を一時的に抑えるのではなく、患者さんの自宅やオンラインでお話をじっくり伺い、食事や睡眠、運動といった生活習慣の根本的な見直しをご提案しています。例えば、お母さんが家族に「毎朝、味噌汁を食べようね」「早く寝ようね」と声をかけるような、特別な資格を持っていない人でもアドバイスできる簡単な内容を伝えるようにしています。なぜなら、ちょっとした生活習慣の改善から始めることが予防医療の基礎になるからです。

診察や相談の際に、先生が特に大切にされているスタンスは何ですか?

患者さんを「上から目線」で指導するのではなく、同じ目線に立って話を聞くことです。患者さんたちは、人生の先輩であったり、自分の知らない分野の専門家であったりします。私自身が教わることも多く、一人ひとりの背景や想いに耳を傾ける対話を何より大切にしています。

食事の重要性と「音楽」で満たされる未来の夢

予防やセルフケアにおいて、野口先生が特に重要だと考えているものは何ですか?

一番の根幹は「毎日の食事」です。私自身、研修医時代に過密スケジュールと乱れた食生活(シリアルに牛乳をかけるだけなど)が原因で、26歳の時に腸の大病を患い緊急手術・入院をした苦い経験があります。

野口先生のこれからの「夢」や「目指す未来」をお聞かせいただけますか?

私の将来の夢は、言葉にすると少し照れくさいですが「音楽で満たされた幸せな世界を作り続けること」です。実は医学部6年生の選択コース期間中、自ら交渉して音楽大学の音楽療法コースに乗り込み、音楽が心身に与える影響や可能性を探求していた時期があるんです。

最後にこれから開業を目指す医師の方々へ、一番伝えたいアドバイスは何ですか?

これから開業される先生方に間違いなく伝えたいのは、「開業する前に、必ずブレない『理念や想い(軸)』を持ってほしい」ということです。理念や想いを掲げずに活動を始めてしまうと、途中で経営や人間関係の軸がブレてしまい、メンタルをやられてしまう方をたくさん見てきたからです。「何のためにこのクリニックをやるのか」「自分は患者さんに何を提供したいのか」という軸さえあれば、どんな試練が来ても乗り越えられるでしょう。人から見たら不器用で恥ずかしい理念でも構いません。「これだけは譲れない」という軸を一本持っておくことが、何より大切だと思います。

Profile

院長 野口 勇人

野口基礎医療クリニック 院長。埼玉県さいたま市浦和区にクリニックを構える。日本大学医学部卒業後、研修医を経て総合病院などに勤務。自身の病気や波乱万丈な経験をきっかけに、予防医学や免疫療法、食事・生活習慣の改善指導に注力するようになる。現在は「セルフケアできる人と環境を取り戻す」を理念に掲げ、訪問・オンライン相談を中心に活動中。また、学生時代から親しんだ音楽活動(吹奏楽)を通じて、医療とアートを融合させた幸せな世界づくりを目指している。

会社情報

医院名

野口基礎医療クリニック

設立

2019年