Interviewインタビュー

「いつでも気軽に頼れる場所を」かなでる女性クリニック日野・野木才美院長が目指す、女性のための身近な保健室

かなでる女性クリニック日野

院長 野木 才美

女性が一生を通じて健やかに、そして自分らしく輝くために、産婦人科医療の果たす役割は少なくありません。東京都日野市に位置する「かなでる女性クリニック日野」は、日野駅前という通いやすい好立地で、多くの女性たちの日々の悩みに寄り添っています。院長を務める野木才美先生は、これまで数々の基幹病院や産婦人科で経験を積んできたエキスパートです。 今回は野木先生に、医師を志した原点からクリニック開院に込めた想い、そしてこれからの展望について、アットホームな雰囲気の中でお話を伺いました。思春期から更年期まで、全ての女性が気軽にドアを叩ける「身近なクリニック」の裏側にある、先生の温かい情熱に迫ります。

かなでる女性クリニック日野・野木才美院長が語る、地域に寄り添う「通いやすさと医療のこれから」

医療の道を志した原点と、日野での開院ストーリー

まずは、野木先生が医師を目指されたきっかけについて、少し遡ってお伺いできますか?

私の家族に医療従事者がおりまして、具体的には母が助産師をしていたんです。そのため、幼い頃から医療という仕事がとても身近にありました。その背中を見て育つうちに、自然と「将来は自分も医療に関わる仕事がしたいな」という気持ちが芽生えていったように思います。

お母様が助産師をされていたのですね。その影響から、やはり自発的に医師を目指されたのでしょうか。

進路を真剣に考え始めたのは高校生の頃だったのですが、母から「医者になりなさい」と強く言われたわけではないんです。ただ、家庭内でも医療の話や仕事の話題が普段から自然と出ていましたので、本当にごく自然な流れで「医学部に進もう」と自分で決めて、受験勉強に取り組み始めました。

大学卒業後は長く勤務医としてご活躍されていましたが、2024年にこの「かなでる女性クリニック日野」を開院されるに至った経緯を教えてください。

勤務医時代は、主にお産や手術を担当していました。産婦人科の病気というのは、手術をして一旦治ったとしても、それで終わりではないことが多いんです。その後も長く通院して、お薬を継続して飲んでいただく必要がある患者様がたくさんいらっしゃいます。 ですが、大きくて混雑する大病院に何度も足を運ぶのは、お仕事や日常生活がある患者様にとって非常にハードルが高いですよね。実際に「近くに気軽に通えるクリニックがないから」という理由で、必要な通院を途中でやめてしまったり、受診できずに困ったりしている患者様の声を耳にすることがありました。「それならば、私が通いやすいクリニックを作ればいいのではないか」と考えたのが大きなきっかけです。

専門領域と、変化する産婦人科医療の今

先生の専門領域や、クリニックとして特に力を入れている部分について教えてください。

私の専門は「婦人科腫瘍」です。現在はクリニックですので大きながんの手術を行うことはできませんが、だからこそ「がんになる前の段階(子宮頸部異形成など)」を早期に発見し、適切な治療や適切なタイミングで基幹病院へご紹介することに全力を注いでいます。地域の先生方とも非常にスムーズな連携体制が整っており、患者様を適切な医療へお繋ぎできる環境を作っています。

腫瘍のほかにも、地域から求められていると感じる診療はありますか?

当院では「不妊治療」にも非常に力を入れています。実は、日野の近隣では不妊の相談に乗ってくれる医療機関が少ないこともあり、本当に多くの患者様が真剣に悩んで当院へお越しになります。お一人おひとりの不安に寄り添い、丁寧に対応することを心がけています。妊婦健診も行っておりますので、女性のライフステージの様々な場面でお役に立てればと思っています。

ホームページでは中絶手術などの対応も明記されていますが、最近のトレンドに変化はありますか?

当院でも中絶手術のご相談はお受けしていますが、時代背景として、以前に比べると手術自体の件数は減っている印象があります。今は緊急避妊薬の普及や、望まない妊娠を防ぐための選択肢が昔より増えています。妊娠に至る前の段階でお薬を使ってコントロールできるようになってきているのは、女性の心身にとっても、とても喜ばしいことだと感じています。

経営者としての試練と、スタッフの採用・教育

医師としてだけでなく「経営者」という立場になられてから、最も苦労されたエピソードなどはありますか?

やはり「人材の採用と定着」ですね。特に半年ほど前は、スタッフが一気に辞めてしまう時期が重なってしまい、一時は日々の診療を回すのすら本当にギリギリで、精神的にもかなり落ち込みました。当時は求人を出してもなかなか応募が来ず、本当に苦労しました。

その状況をどのように乗り越えられたのですか?

それまではギリギリの人員で回していたのですが、思い切って「コストはかかっても、スタッフの人数に余裕を持たせる」という経営方針に変えました。現在は常勤・パートを合わせて8名ほどの体制になり、スタッフみんなの心にゆとりが生まれました。そのおかげか、最近は退職するスタッフもいなくなり、非常に良い循環に入っています。

スタッフの「教育」という面で、意識されていることはありますか?

当院のような小さなクリニックでは、大病院のような体系的な教育システムを組むことが難しいのが現状です。ですが、幸いにも看護師は経験豊富なベテランばかりが集まってくれました。事務スタッフの教育に関しては、現在は診療の合間に先輩が後輩へ丁寧に教え合ってくれています。

患者様への想いと、クリニックが描く未来のビジョン

先生が日々の診療の中で、最も「幸せ」だと感じる瞬間はどんな時ですか?

それはもう、患者様が元気になってくれたり、検査の結果を伝えて「異常なしですよ」と言った時に、本当に安心した表情で笑顔になって帰っていかれる瞬間です。「心配だったけれど、先生に診てもらえて良かった」と言っていただけると、この場所でクリニックを開いて本当に良かったなと心から救われます。女性が元気になるとご家族も明るくなりますし、社会全体がうまく回っていきますよね。

今後のクリニックのビジョンや、野木先生ご自身の将来の夢を教えてください。

クリニックとしては、予約が何週間も先まで取れないような医療機関ではなく、当日でも気楽に予約して通り抜けられる「身近な窓口」であり続けたいです。ここで対応できることは手軽にケアし、難しい病気はすぐに大病院へご紹介する。その方針を崩さずに現状を維持し、地域に根付かせていきたいです。 私自身の夢としては、当院をしっかりと成長させた上で、将来的には信頼できる先生にうまくこのクリニックを引き継ぎ、自分はのんびり大好きな旅行にでも行けたらいいな、なんてぼんやり考えています。

最後に、野木先生と同じようにこれから開業医を目指す先生方へメッセージをお願いします。

今までずっと勤務医をされてきた先生方にとっては、経営のことなんて最初は全然わからないですし、最初は患者様が来てくれるだろうかと不安になることも多いと思います。私も最初は本当にそうでした。 ですが、お一人おひとりの患者様に誠実に向き合い、普通のことをきちんと積み重ねていけば、患者様は必ずそれを見ていてくださり、自然とクリニックを選んで足を運んでくれるようになります。「どうすれば患者様が受診しやすくなるか」を考えて、その思いを裏切らない医療を提供し続けていけば、よほどのことがない限り大丈夫です。 開業してみると、勤務医時代にはできなかった幅広い経験や、人との素敵な関わりがたくさん増えます。もし万が一、自分には合わないなと思ったとしても、また勤務医に戻るという選択肢だって選べるわけですから、あまり最初からハードルを高く考えすぎず、環境や条件が許すのであれば、ぜひ恐れずにチャレンジしてみてほしいなと思います。私自身、本当にやってみて良かったと感じています。

Profile

院長 野木 才美

山梨大学医学部卒業。同大学医学部付属病院に勤務後、武蔵野赤十字病院産婦人科、立川病院、立川中央病院にて長年勤務医として産婦人科医療の最前線に立つ。大川産婦人科での非常勤勤務などを経て、2024年に「かなでる女性クリニック日野」を開院。 婦人科腫瘍を専門領域とし、子宮頸がんをはじめとする予防医療や早期発見に尽力。さらに、近隣に専門医療機関の少ない不妊治療にも注力し、思春期から更年期まで幅広い世代の女性特有の悩みに寄り添う。 「女性医師・女性スタッフのみ」の安心できる体制を整え、日野駅前という好立地を活かし、誰もが「保健室のように気楽に、当日でも頼れるクリニック」を目指して日々の診療を行っている。

会社情報

医院名

かなでる女性クリニック日野

設立

2024年