子どもたちの可能性を信じて。地域に寄り添う温かな小児医療を目指して。ゆいこどもクリニック佐藤 結衣子院長インタビュー
2026.07.08
大人と子ども、地域の笑顔を未来へつなぐ「ゆいこどもクリニック」佐藤結衣子院長が描く小児医療のカタチ
ゆいこどもクリニック
院長 佐藤 結衣子
大阪府堺市堺区、南海七道駅前に位置する「ゆいこどもクリニック」。2026年現在、開院から3ヶ月を迎えた同院は、地域の子育て世代から早くも厚い信頼を寄せられています。院長を務めるのは、小児神経や発達障害、てんかんを専門領域とする佐藤結衣子先生です。「大人が変われば、子どもが変わる。子どもが変われば、社会が変わる」という強い信念のもと、子どもたちだけでなく、日々奮闘する親御さんや地域社会全体を支える医療を目指しています。今回は佐藤院長に、医師を志したきっかけから開院への想い、そしてこれからの展望について、アットホームな雰囲気の中でお話を伺いました。
—まずは、先生が医師を志したきっかけから教えていただけますか?
私は子どもの頃からキャンプリーダーなどの活動に参加していて、昔から子どもと関わることが大好きだったんです。中学生や高校生になると、今度はリーダーたちの「お世話係」という一歩引いた視点から関わるようになりました。その中で、子どもの成長や未来について深く考える機会がすごく増え、子どもの成長には無限大の可能性が秘められているなと肌で感じたことが原点ですね。
—その中で、数ある診療科から「小児科」を選ばれた理由は何だったのでしょう。
キャンプリーダーでの経験を通じて、年齢に関係なく、子どもたちの成長を幅広く、そして長く支えられる仕事がしたいと強く思うようになったからです。子どもたちと最も深く、多角的に関わることができる職種を考えたとき、私にとって一番自然で、魅力的に映ったのが「小児科医」という道でした。
—先生の専門領域である「小児神経」についても、詳しくお聞かせいただけますか?
小児科の中でも、私は「小児神経」と呼ばれる分野を専門にしています。具体的には、発達障害の診断やサポート、それからてんかんの治療などが中心です。これらは子どもたちの日常生活や学校生活、そして将来に深く関わる領域ですので、一人ひとりの個性に合わせた丁寧なアプローチを大切にしています。
—数々の病院で経験を積まれたのち、今年開業を決意されたそうですが、そのきっかけを教えてください。
医師になって今年で12年目になりますが、5〜6年ほど経験を積んだあたりから、ある程度ひとりで動けるようになってきました。ただ、大きな病院に所属していると、組織のルールを守らなければならず、目の前の患者さんやご家族に「本当に今必要だ」と思うサービスやケアがあっても、自分の裁量だけでは勝手に動けないという限界を感じることが増えてきたんです。
—組織のルールと、理想の医療との間で葛藤があったのですね。
そうなんです。「自分の責任で、もっと自由に向き合うことができれば、患者さんのためにできることがもっと増えるはずだ」と気づきました。それなら、自分で開業したほうがスピーディーに動けますし、やれることの幅も広がると考えて、自分のクリニックを持つことを決意しました。
—実際に開業されてみて、病院勤務時代との違いをどう感じていますか?
開業したことでフットワークが軽くなり、地域へ一歩踏み出して、学校や様々な場所へ気兼ねなく足を運べるようになったのは大きな変化です。これまで病院の診察室の中にいるだけでは見えてこなかった、地域の子どもたちのリアルな生活環境や、置かれている状況がしっかり見えるようになってきたと実感しています。
—開院から3ヶ月が経ちましたが、現在の患者さんの反響はいかがでしょうか。
当院の近くには、365日年中無休で診療されている別の小児科さんもあるため、一般小児科としての競合や厳しさも予想していました。しかしありがたいことに、以前の病院から引き続き診させていただいている患者さんだけでなく、新しく受診してくださる方も含めて、想像以上に多くの方にご来院いただいており、励みになっています。
—患者さんや親御さんからの言葉で、特に印象に残っているエピソードはありますか?
受診された親御さんから「本当に安心できるクリニックです」「これからも続けて通いたいです」と言っていただけたときは、心から嬉しかったですね。さらに「他のママ友にも紹介していいですか?」と聞いていただくこともあり、私たちの目指す医療が少しずつ地域に届いているのかなと励みになっています。
—先生にとって、小児科医としての「一番のやりがい」はどこにありますか?
こども自身の成長を感じた時やこどもが笑顔になったことで家族さまも嬉しそうにそのお話をされる時です。子どもたちのちょっとした安心した表情や、親御さんのほっとした笑顔を見られた瞬間です。診察室に入ってきたときは不安そうだったご家族が、お帰りの際に見せてくれる明るい表情。それを見られること自体が、私にとって日々の大きなエネルギーであり、やりがいです。
—先生がクリニックを運営する上で、最も大切にされている「理念」を教えてください。
「大人が変われば、子どもが変わる。子どもが変われば、社会が変わる」という言葉を、本気で信じて医療を行っています。子どもを元気にするためには、まず子育てに関わる「大人」の支援が絶対に必要なんです。親御さんに余裕がなかったり、子育て以外で深刻な悩みを抱えていたりすると、それは子どもの情緒に直結しますからね。
—具体的には、親御さんに対してどのようなアプローチをされているのでしょうか。
診察では子ども中心の話だけでなく、親御さんがどんな心持ちで過ごせばいいのか、今何に悩んでいるのかにも耳を傾けます。クリニック内で解決できるお悩みであれば一緒に考えますし、うちだけでは難しい場合でも、適切な情報や地域の福祉サポートへ繋ぐ役割を果たすよう意識しています。
—最後に、これから開業を目指す先生方や、同じ医療従事者の方々へメッセージをお願いします。
少子化や物価高が進む現代において、小児科の開業は今後さらにハードルが高くなっていくかもしれません。細かい資金計画や成功へのビジョンを明確に持つことは本当に大切です。ただ、自分の責任で自由に理想の医療を形にできるというのは、何物にも代えがたい魅力です。私もまだ理想の2〜3割しか達成できていませんが、ゆくゆくは医療の枠を超えて地域や福祉分野全体に貢献できるよう、一歩ずつ進んでいきたいと思っています。
Profile
院長 佐藤 結衣子
2015年に関西医科大学を卒業後、耳原総合病院にて初期研修を修了。2017年より北野病院小児科に出向し、2018年には京都大学病院小児科での研修を経験。2020年から2026年まで再び耳原総合病院小児科に勤務し、4年間「こども無料塾」を企画運営をする。その間(2021〜2025年)もず診療所の診察医も兼任。その他、狭山保健センターでの業務や、児童発達支援センターキンダーハイム診察医など、地域に根差した多様な小児医療・福祉活動に従事。2026年、南海七道駅前に「ゆいこどもクリニック」を開院。小児神経(発達障害・てんかん)の専門知識を活かし、子どもとそのご家族が笑顔になれる医療を提供している。