地域医療への貢献を目指す–浜松歯科 中野 陽平 院長の経営と情熱
2026.02.17
「外科医×免疫学者×漢方医」の掛け算で貴重な存在へ。新見正則医院・新見正則院長が示すクリニック経営と医療の新たな可能性
新見正則医院
院長 新見 正則
患者さんに安心と希望を提供することをコンセプトに掲げる「新見正則医院」。院長を務める新見正則先生は、外科医としての豊富な実績に加え、オックスフォード大学で修めた免疫学、そして漢方医療という多角的なアプローチで、がんや難病に悩む患者さんに寄り添い続けています。自由診療や遠隔診療を積極的に取り入れ、独自の診療スタイルを確立された新見先生。本記事では、医師を目指した原点から、新見正則医院での取り組み、医療経営への独自の視点、そしてこれから開業を目指す次世代の医師へのメッセージまで、4つのテーマで率直な思いをお伺いしました。
—先生が医師を志したきっかけについて教えていただけますか。
実は昔、極度の吃音(どもり)があって、うまく喋ることができなかったんです。そのため、少年時代は「自分になれる職業はないな」と思っていました。喋ることが上手くないと政治家や弁護士も無理だろうと諦めていて、「医師なら言葉が拙くても務まるのではないか」と考えたのが最初のきっかけですね。
—本格的に受験勉強を始めたのはいつ頃だったのでしょうか。
高校2年の冬までは全く勉強していませんでした。その時期に全国模試を受けたのですが、何万人もいる中で後ろから数えた方が早いような成績でして、「世の中にはこんなに賢い奴らがいるのか」と衝撃を受けたんです。そこから一発発起して猛勉強を始めました。ある私立大学には現役で合格しましたが、二浪の末に慶應義塾大学医学部に合格し、医療の道を進むことになりました。
—大学卒業後は外科医や研究者として幅広くご活躍されましたね。
慶應の外科に入局した後は、永寿総合病院や大田原赤十字病院(現那須赤十字病院)、水戸赤十字病院などで多数のがん手術に携わりました。その後、1993年から英国オックスフォード大学の博士課程に留学し、5年間免疫学の研究に没頭して医学博士を取得しました。帰国後は帝京大学病院で外科医として手術を行いながら、日本初となる本格的な「がんのセカンドオピニオン」外来を立ち上げるなど、患者さんの声に耳を傾ける診療を続けてきました。
—2020年に「新見正則医院」を開業された経緯をお聞かせください。
61歳まで大学病院等で勤務していましたが、私には「外科医」「免疫学者」「漢方医」という3つの強みがあります。特に臨床経験と科学的エビデンスに基づく生薬の効果を強く実感していました。そこで「本当に効くのであれば、保険診療に頼らず自由診療で開業しても全国から患者さんが来てくれるはずだ」という実験・検証の思いも込めて、2020年に開業を決意しました。
—診療のスタイルとして「遠隔診療」を中心とされている理由は何でしょうか。
開院した2020年がちょうどコロナ禍の始まりと重なったことも大きな契機でした。当院は千代田区飯田橋にありますが、ターゲットは地域限定ではなく全国・世界中の患者さんです。動画通話や電話を活用した遠隔診療(オンライン診療)であれば、遠方のがん患者さんも体力的・金銭的な負担なく受診できます。エリアマーケティングに縛られない新しい診療モデルです。
—実際に来院・受診されるのはどのような患者さんが多いですか。
受診される患者さんの約9割が「がん」の方で、残りの1割が難病や難症の方々です。大学病院などの標準治療を一通りやり尽くして「もうできる治療がない」「緩和病棟へ行ってください」と言われてしまった方や、現在の抗がん剤治療などにプラスして少しでも良くしたいという方が全国からご相談に来られます。
—クリニック経営において、最も大切にされているポリシーは何でしょうか。
「患者さんに安心と希望を与えること」が当院の根幹にある医療理念です。がんや難病の患者さんは、標準治療の選択肢がなくなった時点で深い絶望や不安の中にいらっしゃいます。そうした方々に「まだできることがある」「こういう選択肢もある」という安心感と希望を届けることが、当院の果たすべき役割だと思っています。
—経営面で「借金ゼロ・少数精鋭」を徹底されている理由をお聞かせください。
クリニック経営で一番の課題になるのは人件費と家賃などの「固定費」です。当院はスタッフを雇わず、私と妻の2人だけで運営しています。また、漢方や生薬の診療には高額な大型検査機器が不要なため、数百万円程度の自己資金(家賃や最低限の備品)だけで借金ゼロで開業できました。固定費を極限まで下げることで、経営の不安なく患者さんに誠実に向き合えます。
—医師として、どのような瞬間に大きなやりがいを感じますか。
主治医から「余命半年」と告げられて当院に来られた方が、当院の処方やカウンセリングによって1年、2年と元気に過ごされている姿を見たときですね。実際、余命宣告の3倍以上長生きされたケースが当院では多数あります(約8割)。「ここに来て良かった」と感謝していただけることが、医師として最高の喜びです。
—新見先生の今後の展望や、挑戦してみたい「夢」はありますか。
私は「0から1を生み出す」挑戦が大好きなんです。がんに対する生薬アプローチはある程度の手応えと仕組みを確立できたので、今後は他のがん以外の難病や難症に対する新しいアプローチにトライしていきたいですね。また、自分自身が昔吃音だった経験を活かして、吃音に悩む方々を支援する社会的活動なども展開していきたいと考えています。
—YouTubeでの情報発信やライブ対談にも力を入れられていますね。
私は編集された映像よりも「ライブ」が好きなんです。編集が入るとどうしても制作側の意図で発言がカットされたり捻曲されたりすることがありますが、ライブなら質問に対してその場で嘘偽りなく本音で答えられます。今後もライブ配信などを通じて、患者さんや医療従事者に正しい医療情報をリアルタイムで届けていきたいですね。
—最後に、これから開業を目指す若い医師へアドバイスをお願いします。
これからの医療業界で勝ち残るための鍵は「レアな存在になること」です。1つの分野だけで100万人分の1の天才になるのは難しいですが、「100人に1人」の知識やスキルを3つ掛け合わせれば、誰でも超レアな存在になれます。私で言えば「外科医×免疫学者×漢方医」の掛け算です。若い先生方には、ぜひ自分だけの「二刀流・三刀流」の強み磨き、レッドオーシャンを抜け出して患者さんに必要とされる唯一無二の医師を目指してほしいと思います。
Profile
院長 新見 正則
1985年慶應義塾大学医学部卒業後、同・一般消化器外科へ。永寿総合病院や大田原赤十字病院、水戸赤十字病院等で多数のがん手術に携わり、慶應義塾大学病院では病理診断にも従事。1993年より英国オックスフォード大学医学部博士課程(免疫学)へ留学し、1998年医学博士取得。同年より帝京大学第一外科にてがん手術やセカンドオピニオンを開始。准教授、博士課程指導教授(外科学、移植免疫学、東洋医学)を歴任し、2013年イグノーベル医学賞受賞。2020年「新見正則医院」を開院。