Interviewインタビュー

「美の押し付けではなく、人生のストーリーに寄り添う医療を」SAI CLINIC 崔煌植院長が目指す、これからの美容クリニックの姿

SAI CLINIC

院長 崔 煌植

美容医療のあり方が多様化する現代において、大手クリニックとは一線を画し、患者様一人ひとりと誠実に向き合う場所があります。それが、大阪・梅田のど真ん中に位置する「SAI CLINIC」です。院長を務める崔煌植先生は、元自動車エンジニアという異色の経歴を持つドクター。その確かな工学的視点と、大手クリニックでの豊富な院長経験、さらには技術指導医としての卓越した手腕を活かし、特に「糸リフト」の分野で多くの支持を集めています。今回は崔先生に、医師を志したきっかけから、SAI CLINICを開院するに至った熱い想い、そして独自の医療ポリシーについて詳しくお話を伺いました。

患者様一人ひとりの「なりたい」に寄り添う。SAI CLINIC 崔煌植院長が語る、美容医療への誠実な情熱

異色のキャリアと医師への覚悟

崔先生は元々、自動車のエンジン設計をされていたエンジニアだったと伺いました。元々のバックボーンについて教えていただけますか。

大学の工学部を卒業した後、自動車メーカーでエンジニアとしてエンジンの設計をしていました。大学時代に研究していたのは「医療工学」という分野で、具体的には心臓のカテーテル治療に使うデバイスの研究開発を行っていました。自分が開発したモノによって誰かの命が助かるという医療のものづくりに、当時からものすごくやりがいを感じていたのが、医療への興味のベースにあります。

自動車メーカーという安定した環境から、実際に医学部を受験し直そうと決断されたきっかけは何だったのでしょうか。

大きな転機となったのは、東日本大震災でした。当時、私は埼玉県の北部にいたのですが、日本全体が大きく揺れるような未曾有の大災害を目の当たりにし、福島第一原発の水素爆発などをニュースで見ながら、命の恐怖を肌で感じたんです。「人生は一度きり。本当に自分がやりたいことをやらなければ後悔する」と、心の中に火がつきました。そこから「1年だけ死ぬ気で頑張ってみよう」と猛勉強し、運よく三重大学医学部に合格できたため、医師になる決意を固めました。

医師になられた後、最初は内科なども視野に入れていたそうですが、最終的に「美容外科」を選ばれたのはなぜですか。

元々手先を動かすことが好きで、手術がしたいという想いがありました。その中で美容外科を選んだのは、ある意味で「一番言い訳が効かない世界」だからです。一般的な医療の世界では、最善を尽くしても「寿命です」と言わざるを得ない場面もありますが、美容外科は顔の表面を扱う治療であり、結果の良し悪しがすべてダイレクトに見えてしまいます。誤魔化しが一切効かない、結果がすべてのシビアな世界だからこそ、職人として自分の腕一本で、患者様の幸せに直接コミットできると考えたんです。

理想の美容医療を追い求めて

前職の大手クリニックでは、神戸院や心斎橋院の院長を務められ、非常に華々しい実績を残されていますね。

美容転科して最初に勤めた湘南美容クリニックには4〜5年ほど在籍し、美容の基本や技術を教わりました。多くの症例を経験させていただき、都市部大型院の院長という大役も任せていただいたことには本当に感謝しています。そこで培った経験が、現在の私の技術的な土台になっていることは間違いありません。

そんな順風満帆な環境から、あえて独立・開院の道を選ばれたのはなぜでしょうか。

大手クリニックにいると、組織が大きすぎるがゆえに、どうしてもベルトコンベアのような「流れ作業」の医療になってしまう現実がありました。経営的な効率が最優先され、「一人あたりのカウンセリング時間は10分まで」「この施術は30分以内で終わらせてください」といった厳格なルールに縛られる。私はもっと患者様一人ひとりと丁寧に向き合いたかったのですが、それが許されない環境に、常に大きなもどかしさを抱えていました。

大手ならではの、効率や売上を重視する方針にギャップを感じていたのですね。

そうですね。さらに言えば、業界全体の「商業主義」への違和感もありました。とにかく売上を上げるために、本来は必要のない施術までおすすめしたり、支払能力を超えている患者様に言葉巧みに高額なローンを組ませて契約を迫るような、不誠実なクリニックの話を耳にすることもありました。美容医療も医療である以上、何よりもまず「誠実さ」が必要不可欠です。他人に雇われている立場では自分の理想の医療を貫けないと悟り、自分で全リスクを背負ってでも、理想の場所を作るしかないと開院を決意しました。

数々の苦難を乗り越えた「SAI CLINIC」の誕生

開院の地に大阪・梅田の茶屋町という一等地を選ばれたのには、どのような理由があるのですか。

私がこれまで診てきた心斎橋や神戸、そして岡山時代の患者様が、今でも新幹線を使って私を頼って来てくださいます。そういった遠方からわざわざ足を運んでくださる大切な方々の利便性を考えると、関西最大のターミナルである「梅田駅」からすぐのこの場所が、一番ご恩返しになる最適なロケーションだと考えました。また、西日本の中心地であり美容クリニック激戦区の梅田で糸リフトのナンバーワンを目指す、という意気込みもありました。

開院にあたって、最も苦労されたエピソードを教えてください。

一番苦戦したのは「テナント選び」と「その審査」ですね。このヤンマー本社ビルは、日本を代表する大手上場企業の自社ビルです。そこに、開業実績のない個人医師が「クリニックを開業したい」と言ってもなかなかすぐには許可をいただけませんでした。私の人間性や熱意、事業計画を認めてもらうために何度もプレゼンを重ね、厳しい社内審査を経て、ようやくこの場所を借りることができました。テナント決定まで、実に8ヶ月もの時間を費やしましたが、私を信用してチャンスを下さったヤンマーホールディングス株式会社様には心から感謝しています。

そこまでして崔先生がこだわった、SAI CLINICの現在の体制について教えてください。

私は、過度な広告費をかけて集客するのではなく、身の丈に合った堅実な運営を心がけています。現在は、私と看護師、そして受付という非常にミニマムなスタッフだけで運営しています。全員が私の想いに共感して信頼できる仲間であり、スタッフが大人数いるクリニックではありがちな人間関係のトラブルもなく、全員で一丸となって患者様を温かくお迎えできる理想の体制が整っています。SNSなどで変に「バズ」らせて短期的な急拡大を狙うのではなく、口コミなどを中心に徐々に良いお客様が増えていき、一人一人と長いお付き合いをさせていただきたいと思っています。

これから開院を目指すドクターへ

崔先生の「糸リフト」のこだわりと、他院との違いについて教えてください。

最大の違いは「自然な仕上がり」へのこだわりです。何をもって「自然」とするかは人それぞれですが、お客様一人一人の持つ美的感覚や、なりたい姿のニーズを細かく拾い上げてくれるクリニックは多くありません。ほとんどのクリニックでは、ひとたび施術が始まれば、施術終了まで鏡を見ることはなく、たとえ結果に不満足だったとしても修正は不可能です。 当院では「クリニック側の美的感覚を押し付けない、お客様のなりたい姿や価値観を尊重する」ことを大切にしています。例えば、施術中に鏡を見ていただき、細かな調整を重ねながら最終仕上げをしています。こうした細かい工夫を積み重ねることで、一人一人の理想とする「自然な仕上がり」を実現しています。これは大手の「効率重視」の環境では絶対に真似できない、個人クリニックだからこそ実現可能なこだわりです。また、安売りで人を集めるのではなく、技術の本質的な価値で選んでいただけるクリニックであり続けるために、「糸リフトの価格は一切値引きしない」と心に決めています。

先生が日々の診療やクリニック経営の中で、一番「幸せだ」と感じる瞬間はどんな時ですか。

やっぱり、患者様と心の通った信頼関係が築けた時ですね。私が理想としていた診療スタイルが形になり、患者様から「先生、また来たよ」と言っていただけたり、仕上がりに満足して「私の大切な家族や娘を連れてきたよ」と紹介してくださる。さらには、カウンセリングの用事がなくても、開院祝いにわざわざお土産を持って顔出しに来てくださる方もいらっしゃいます。経営面での苦労は絶えませんが、そういう瞬間があると、本当にすべてが吹き飛ぶほど嬉しいですね。

これから美容医療の世界で、崔先生のように自分の理想を掲げて「開業医」を目指す若い先生方へ、ぜひアドバイスやメッセージをお願いします。

これから開業を志す先生方に一番伝えたいのは、「最初から自院のブランドコンセプトを明確に固めておくべきだ」ということです。誰をターゲットにし、どんな悩みに応えるのか。うちであれば「ミドルエイジ以上の女性をターゲットにし、安売りではなく丁寧さと確かな技術を提供する」と最初から決めていました。だから、大手の低価格帯を求める層とは完全に区別できています。 開業には借金も伴いますし、大きなリスクを背負うことになります。うまくいくか不安になるのは当然です。でも、最後に決めるのは自分の心です。迷ったときは、ぜひ「人がやらない方、新しい方」を選んでみてください。私はこれまで、その鉄則に従って動いて後悔したことは一度もありません。最後は飛び込む覚悟を持ち、自分の理想とする誠実な医療を追求してほしいと思います。

Profile

院長 崔 煌植

三重大学医学部卒業。済生会千里病院の形成外科・皮膚科・内科での勤務を経て美容医療の道へ。日本最大手の美容クリニックである湘南美容クリニック神戸院にて院長を歴任。その後、AND美容外科心斎橋院の院長を務めるなど、数々の現場でトップドクターとして活躍する。その卓越した技術から「美容クリニック技術指導医」に任命され、後進の育成を目的とした「崔先生の糸リフト塾」の代表や、有名化粧品「imini」の監修医も務める。2025年、大阪・梅田に「SAI CLINIC」を開院。確かな技術力と丁寧なカウンセリングで、美を追求する多くの女性から絶大な信頼を寄せられている。

会社情報

医院名

SAI CLINIC

設立

2025年11月