Interviewインタビュー

100年の信頼を胸に、外来から在宅まで街の痛みに寄り添い続ける。小沢医院 整形外科・内科、南 弘樹 院長が描く地域医療の未来

小沢医院 整形外科・内科

院長 南 弘樹

神戸市中央区、花隈の地で大正時代から続く歴史を持つ「小沢医院 整形外科・内科」。地域に根ざして100年近く、世代を超えて多くの患者さんの健康を支え続けてきた伝統あるクリニックです。今回は、その歴史を受け継ぎ、新たに整形外科の診療をスタートさせた院長の南 弘樹(みなみ ひろき)先生にお話を伺いました。代々続く医院を継承することへの想いや、ご自身の専門分野である「骨粗鬆症」の治療にかける熱意、外来から在宅までを視野に入れたこれからの展望など、南 弘樹 院長が抱く本音とこれからのビジョンを深く掘り下げます。

「小沢医院 整形外科・内科」南 弘樹 院長インタビュー・大正から紡ぐ100年の伝統と、地域に尽くす予防医療への挑戦

1. 医師としての原点と100年続く医院を継承した決意

南先生が医師を志したきっかけについて教えていただけますでしょうか。

私の実家は、幼い頃からこの「小沢医院」の上が自宅になっていまして、医療がとても身近な環境で育ちました。祖父も父も医師として、日々、地域の患者さんのために懸命に貢献している姿をずっと間近で見てきたんです。そうした環境の中で、父や祖父の背中を追いかけるように、自然と自分も将来は医師になって人を助けたい、医学部を目指したいと思うようになりましたね。

数ある診療科の中で、あえて元の小沢医院にはなかった「整形外科」を選ばれた理由は何だったのでしょうか。

実は、小沢医院はもともと「放射線科」と「内科」をメインに診療を行っていました。私が整形外科を選んだのは、大学時代にラグビーという激しいスポーツをやっていたことが大きく影響しています。自分自身も含め、スポーツにおける怪我や故障に直面する機会が多く、自然とスポーツ整形や骨・関節の治療に強い興味を持つようになりました。そこで、自分が新しく整形外科の分野を立ち上げることで、医院に新しい価値を加え、より幅広い患者さんを救えるのではないかと考えたんです。

ご自身のスポーツ経験が原点になっているのですね。その後、歴史ある小沢医院を継承されることになった経緯を教えてください。

当院は大正時代から続いており、まもなく100周年を迎えるほどの歴史があります。私には兄弟もいるのですが、他に誰もこの医院を継ぐ予定がありませんでした。「ここでこの歴史ある医院を潰してしまうのはあまりにも惜しい、地域のためにも残さなければならない」という強い想いがあり、以前からいつかは自分が戻って継承しようと決めていたんです。父も高齢になってきたこともあり、数年前に私がここに戻り、伝統を引き継ぐ形で院長に就任しました。

開業医としての試練と日々の診療で覚える喜び

実際にクリニックの経営・診療を始めてみて、勤務医時代との違いや苦労された点はありますか。

それはもう、日々苦労の連続ですね。一番のギャップは、やはり「勤務医」と「開業医」の違いです。大病院の勤務医であれば、手術をして、治して、退院すれば基本的には一区切りつきます。しかし、開業医というのは、最初の診断から、手術をしない治療の模索、そして何より「再発させないための長期的なフォローアップ」まで、最初から最後まですべてを診る必要があります。さらに、医療だけでなくスタッフの管理やクリニックの経営など、やるべき範囲が広すぎて本当に大変だなと痛感しています。

南先生が日々の診療の中で、最も「嬉しい」と感じる瞬間はどのような時ですか。

やはり、治療によって患者さんの状態が良くなり、笑顔で喜んでいただけた時が一番嬉しいですね。それともう一つ、一度怪我が治って通院が終わった患者さんが、数年後にまた別の場所を痛めた時に、再びうちを選んで来てくださった時です。 「2回目も小沢医院に行こう」と思ってくださるということは、前回の治療や対応に満足していただけていたという証拠ですから。言葉で直接「満足しました」と言われなくても、再び足を運んでくださる行動そのものが、医師として何よりの励みになります。

患者さんに向き合う上で、南先生が個人的に特にこだわっているアプローチはありますか。

患者さんの痛みをできるだけリアルに理解したい、という点にはこだわっています。たとえば、整形外科で行う注射なども、患者さんがどれくらい痛いのかを自分自身で分かっておきたいので、自分でできる範囲のものは自分の体で試してみたりするんです。さすがに手が届かない場所は無理ですし、看護師さんにお願いすると嫌がられますけどね。でも、そうやって「患者さんと同じ視点に立つこと」が、真摯な医療には不可欠だと思っています。

高齢化社会を支える「骨粗鬆症」への専門性と経営理念

南先生のご自身の「専門領域」や強みについてお聞かせください。

特に力を入れているのが骨粗鬆症の治療です。この地域は高齢の患者さんも非常に多いのですが、骨粗鬆症は基本的に自覚症状がありません。そのため、多くの患者さんは「転倒して大きな骨折をして初めて気づく」というケースがほとんどなのです。 一度大きな骨折をしてしまうと、寝たきりになってしまうリスクもあります。そうなる前に、最新の「骨密度測定器」を導入して正確な診断を行い、大きな怪怪我を未然に防ぐ。この「予防医療」としての骨粗鬆症治療は、今のこの地域医療において最も必要とされている分野だと確信して、専門的に取り組んでいます。

整形外科の先生で、骨粗鬆症をここまで専門的にやりたいという方は多いのでしょうか。

実は、整形外科医の中で骨粗鬆症治療を専門にやりたいという人は、正直あまり多くありません。どちらかというと内科に近いアプローチになりますし、派手な手術があるわけではないからです。多くの整形外科医は、手術で骨を劇的に治すことに魅力を感じがちなんですね。しかし、私は地域の高齢化のニーズを考えたとき、内科的な管理も含めて骨粗鬆症をしっかり診られる整形外科医こそが、この街に今一番求められていると判断しました。

クリニックとしての経営理念や、大切にされているポリシーはありますか。

「地域医療への貢献と、地域の皆さんの健康を支え続けること」です。当院は父が診る内科もあり、私の整形外科もありますので、大抵の病気や怪我に対してアプローチできるのが強みです。患者さんが「治療難民」にならないよう、最初から最後までしっかりと寄り添う医療を大切にしています。

医療の質を守るための今後のビジョンと次世代へのメッセージ

今後2〜3年後のクリニックのビジョンや目標について教えてください。

現在、私一人で整形外科のすべての患者さんを診ているため、現状の診療クオリティを維持しながらこれ以上多くの患者さんを診るには、正直なところ時間的にも体力的に限界を感じています。患者さんへの真摯な対応や医療の質を絶対に落としたくないので、今後は、同じように志を高く持って患者さんに優しく向き合える医師を新しくお迎えしたいと考えています。そうして体制を整えながら、将来的には分院を展開するなど、より多くの地域の患者さんに安心を届けられる幅を広げていきたいというビジョンを持っています。

医療の質を守るための体制強化ですね。分院以外にも、地域に向けて新しく力を入れていきたい分野はありますか。

外来に来られる患者さんだけでなく、通院が難しくなった方への在宅診療にも、今後はもっと力を入れていきたいと考えています。実際、私もすでに少しずつ外に出て訪問診療を行っているのですが、最初から最後まで、その方の人生に寄り添って診てあげられる体制を作ることが目標です。当院に一度関わってくださった患者さんが、年齢を重ねてもずっと安心して健康でいられるような、そんな網羅的なクリニックを目指しています。

素晴らしいですね。最後に、これから開業を目指す先生方や、同じように医院の継承を考えている若い医師の皆さんにメッセージをお願いします。

「勤務医と開業医では、求められるスキルも勉強すべき内容も全く違う」ということをお伝えしたいです。治療の技術だけでなく、経営や診療報酬の仕組みについても、事前にしっかりと学んでから一歩を踏み出すべきだと思います。特に親の医院を継承する場合は、お互いの信頼関係や引き継ぎの条件、今後のシステム構築について、事前にしっかりと話し合っておくことが本当に大切です。

Profile

院長 南 弘樹

小沢医院 整形外科・内科 院長。大正時代から続く小沢医院の伝統を受け継ぎ、現在は整形外科を中心に地域医療へ貢献している。大学時代はラグビーに打ち込み、スポーツによる怪我やスポーツ整形への興味から整形外科専門医の道を志す。勤務医として研鑽を積んだ後、高齢化が進む地域社会を支えるため、父親が経営する小沢医院を継承。自身の強みである「骨粗鬆症」の専門知識を活かし、大きな怪我や骨折を未然に防ぐ予防医療に注力している。患者さん一人ひとりに真摯に向き合う実直な診療姿勢で、地域住民から厚い信頼を寄せられている。

会社情報

医院名

小沢医院 整形外科・内科

設立

100年以上前